やまぎ日報207

3月9日

公演前日。「場当たり」という、このシーンの時この人はここにいますよ的な調整をガッツリ行う。ナオキは基本引きこもりなのでベットの上が定位置である。だから楽ちんかと思いきや、座る位置を間違えると微妙に照明が当たらなかったりとするので、引きこもりなりに多少計算しているのである。それよりもここにきて花粉症が悪化し、薬をODする。

3月10日

いよいよ初日。昼、夜公演。音響さんが効果音で電車の音を鳴らすと開演1分前の合図なのだが、男2役のサカモンが効果音ではなく実際に近所を中央線が通過した音を合図と勘違いしてしまい、芝居を始めてしまう。まさかのタイミングで開演となり舞台裏はてんやわんやとなる。珍プレーで開幕となった。

3月11日

昼、夜2公演。夜公演ではカザマくんとロンドンがアフタートークのゲストで出てくれた。演出家陽永もこの突然現れた初対面の2人のバンドマンのキャラに興味を示したらしく、今度改めて一緒に飲もうと話した。陽永も「やまぎ会」(朝からサウナで人間としてダメな1日を過ごす会)に誘ってみよう。

2人が登壇した瞬間、オメガ東京のステージが一瞬でプラネットKになった。

3月12日

夜公演のみ。溜まった洗濯をホテル状態の我が家を掃除し、久しぶりに本番までゆったり過ごせた。昨日に続き、小倉やしあわせくんといった仲間がたくさん観に来てくれた。嬉しかった。虚構の劇団の小沢さんと小野川さんが登壇したアフタートークにちょこっと出させてもらった。

3月13日

本公演の山場、1日3公演。昼過ぎに嵐のような天気になったが、お客さんたくさん来てくれた。3公演めの前にかつて感じたことのないような肉体的精神的疲労に襲われたが、「極限まで疲れた時はいい芝居ができる」という三上先生の言葉を信じてそのまま本番に向かう。演技で泣くなんて役者さんはすごいなぁと思っていたが、いつのまにか最後のシーンではぼくも涙が溢れてきてこぼれないように必死になっていた。

3月14日

いよいよ千秋楽。終わってしまうことがさみしくて、「やだ!終わりたくない!」と朝から楽屋でダダをこねる。最後の公演が終わり楽屋で感極まってべーさんに「ありがとうございました!」と握手を求めたら、「何終わったみたいな感じになってんだ!これから地獄のバラしと搬出だよ!」と男1のキャラのままに怒られ、現実と向き合う。終わった感傷に浸る余裕もなく慌ただしくセットをバラして搬出。ガランとした劇場を見て、「ああ、終わったんだな」と実感が湧いてきた。

最後に楽屋でキャストのみんなと。改めて、「5人しかいなかったんだなぁ」と思う。一人何役も演じたサカモンとベーさん、すごかった。陽永はケンジそのもの。都倉さんのアカリちゃんも本当に素敵だった。

チーム全員で。音響さん、照明さん、舞台監督さん、演出助手、制作の方やスタッフの方々、誰一人として欠けたら成立しない。こうして演劇は出来上がるという裏側を見せてもらいました。言われるままにセンターに座らせてもらいましたが、後で見たらまるで座長。恥ずかしい。

よーえい!やだー!終わりたくなーい!とダダをこねる最年長。

素晴らしい経験をさせてもらった。本当にありがとうございました。明日からまた、バンドマン。