知らない町でいきなり美容室に飛び込んでみた話

そろそろ髪を切りたいなぁと思っていたのですが、いつもの美容師さんとスケジュールが合わず、そうこうしているうちに切りたさに歯止めがかからなくなり、「こんな伸びた髪で人に会うのも外を歩くのも恥さらしだ」と急な被害妄想と自意識過剰に苛まれました。それはもう、発作のように。今日切らなくては死んでしまう。そう思ったぼくはたまたま訪れていた見知らぬ町で目に入った美容室に飛び込んでしまいました。

予約も何もなしでの飛び込み。しかもこんな髪の伸びきったおっさん、相当迷惑ではなかろうかと思いましたが、心よく受け入れていただきました。

担当してくれたのはキャップを被ったどうみても「週末は渋谷のクラブに出入りしてます」風なストリート系の兄ちゃん。間違いなくラッパーかダンサーである。まずい。エグザイルみたいな髪型にされてしまったらどうしよう。サイド刈り上げられて線みたいなの入れられたらどうしよう。この昭和顔にそんな髪型はただの事故である。焼酎とパフェくらい合わない。

バンドマン歴16年。身分を隠して後でバレる方がかっこ悪いことは経験上知っています。なので開き直って先に言っちゃう!聞かれてもいないのに「私はバンドマンです!」と!

そこからはライブハウスに一度も行ったことがない美容師とクラブに一度も行ったことがないバンドマンが互いに質問と説明をし合う対談企画のようになりました。そしてこの美容師さんがさみしそうにぼくに言いました。「ぼくたち、3Bですもんね…」。そうです。誰が言い出したか知りませんが世の中には「付き合ってはいけない3B」というのが吹聴されております。「バーテン・美容師・バンドマン」。ひどいでしょ?一緒にするなと声を大にして言いたい!失礼だ!美容師とバーテンの皆さんに失礼だ!

いつかバーテンと美容師とバンドマンで座談会がしたい。


余談ですが、こともあろうかこの3Bのうちの2つを満たしてしまった稀有な人をぼくは知っている。片山ブレイカーズの吐夢さん。バンドマンであり、バーをやっている。どうせならコンプリートしてほしいと思ってしまう。吐夢さん、美容師にもならないかな。