バンドマンがクラシアンを呼んだ話

バイト先の病院のトイレがつまってしまった!一刻も早く直さなくてはいけないものの、院長先生も同僚もその日はライブ(全員歌手ってどんな病院)、2人を送り出し、ぼくが対応することとなりました。初めてのクラシアン。バンドマン VS クラシアン。文字にするとメカゴジラ VS キングギドラみたいでなんかかっこいいぞ!

さて、クラシアンは大変多忙なようで、午後1時ころ電話をしたのに来れるのは夜の7時とのこと。クラシアンが現れるその時までバンドマンはひたすら待ちました。時折かかってくる電話に対応したり、点滴用のソファでお昼寝をしたり。しかし。人間って不思議なものですね。今何が起きていて自分が何をしているのか簡単に忘れてしまうんです。「あ、おしっこしたいな」と思って当たり前に「つまっているなう」の使えないトイレに入ってしまうんですから。用を足す瞬間に気づく。あ、使えないんだったと。

使えないとなると妙にもよおしてくるのも人間の不思議。待っている時間に何度もトイレに行きたい気がして、近所のビルのトイレに駆け込みました。そうして待ちくたびれた頃、ついにクラシアンは現れました。待ったぞ!宮本武蔵を待つ佐々木小次郎になった気分であった。

クラシアンはにこやかに名刺を差し出すと、持ってきたバズーカーのような兵器をトイレにぶちこみました。


それはもう、見ただけで「これは…直る!」と思わせるに十分な圧倒的な存在感。さっきまでブラシでシュポシュポやってみていた自分の無駄な抵抗を思い出し、自分の存在がなんなのかさえわからず震えました(by尾崎豊)

しかし、クラシアンのこの兵器をもってしても、トイレのつまりは取れませんでした。だんだんと顔が険しくなってくるクラシアン。応援するしかないバンドマン。配管の構造の説明をするクラシアン。まったくわかってないのに「なるほど…」とわかったふりをするバンドマン。そしてクラシアンが持ってきた次なる兵器に私はたまげました。


なんだこれは。よく路上ライブをしている弾き語りシンガーの後ろの方にある発電機では決してありません。なんでもワイヤーが配管の奥まで入り込み、ドリルのように回転しつまりを除去するマシーンらしい。これでゴリゴリと配管を攻めた結果、クラシアンが「手ごたえあり」的にニヤリと笑い、トイレが勢いよく流れました。思わずトイレの前で拍手をするバンドマン。冷静に器具を片づけて帰り支度をするクラシアン。やばい、クラシアン、かっこいい。

人間は不思議なものです。トイレが使えないとなると急にしたくなる。使えるようになると、急にしてみたくなる。直ったばかりのトイレで意味もなく用を足し、それが流れていく様を見て、これが暮らしであり安心であると改めて思いました。32,400円で暮らしと安心を取り戻しました。暮らし安心クラシアン。暮らし不安定バンドマン。うるさいっ。