気を使う言葉

以前あるライブの打ち上げで、初めて対バンしたバンドの人と話していました。なんていうか、わりと体の大きいというか、肉付きがいいというか、決して平たくないけど平たく言えばデブだったんですね。初対面ですからお互い気を使う感じで、「山岸さん、休みの日とか何してます?」という「合コンか」とつっこみたくなるような質問をされましてね。「まぁ本読んだりとか。ちなみにあなたは?」と聞き返すと、「わりと家にいますね」と広がらない答えが返ってきました。さて、ここで次に私が言った言葉が問題です。「出不精なんですね」と。会話の流れではいたってノーマルなのですが、やはり「出不精」というワードに私は言った直後に「あ」と一瞬気まずくなりました。相手はデブなんですもの。初対面ですから「デブだけに!」と付け加えて爆笑というわけにもいきませんし。日本語は時に難しい。

あと気を使うのは、やはり頭髪。以前知り合いのバンドでこんなエピソードを聞きました。ドラムの人が若干ハゲ散らかってきた非常にセンシティブな時期にレコーディングがあったそうです。ドラムを録り終えてみんなプレイバック(聞き直し)をしたらあまりいいテイクではなかったそうで、エンジニアさんがこう言ったそうです。「◯◯くん、もう一度つるっと頭から録ろうか」と。「ツルッと頭から」。レコーディングでは当たり前のこのワードが、その時のスタジオの空気を一瞬で凍りつかせたことは言うまでもありません。きっとみんなその後、「悪くないテイクだったよ」とハゲましたんでしょうね。なんつて。

今日はこのへんで失礼します。