拝啓、町田さん

町田さん、あなたに初めて会ったのは忘れもしない14年前、2004年の10月14日でした。あなたは25才、ぼくは24才でしたかね。大宮ハーツにバンジーがツアーでやって来た時、結成当初のウラニーノが前座をやらせていただきました。「武蔵野のジャックナイフ」と呼ばれるあなたは、触る者皆傷つけるような恐ろしい人だと思っていましたが、リハ後にハーツの階段に腰かけて一人でカップラーメンを食べていたあなたは、驚くほど低姿勢なやさしい人でした。あの日のライブで受けた衝撃は、私を本当のロックに目覚めさせてくれました。

それ以降、「町田さん町田さん」と何かとつけ回す私を、あなたは大変かわいがってくれました。大学の時は金髪にしたりしていた私ですが、町田さんが「黒髪シンガーズ」というイベントに呼んでくれて以来、いつでも呼んでもらえるように黒髪を貫いているのはここだけの話です。

いつだったかあなたが言ってくれた、「山岸くん、おれが音楽をやめると言った時は殴ってくれ。その代わり山岸くんがやめると言った時はおれが殴りに行く」という言葉。あれはうれしかったです。その言葉を胸に今も音楽を続けていますが、その話をしたらあなたは「あれ?そんなこと言ったっけ?」と言いましたね。それこそ、殴ろうかと思いました。

昨日のライブも最高でした。あなたはぼくにとって永遠の憧れであり、目標です。ずっと16歳のままで、死ぬまで歌い続けましょう。ぼくはどこまでもついて行きます。

ところで、「武蔵野のジャックナイフ」に憧れた私は、「大宮の木刀」と名乗るようになりました。これが驚くほど浸透しません。自分ではけっこう気に入っているんですよ。あなたが鋭く尖ったジャックナイフでこのロックシーンに斬り込んで行くなら、私はその後ろに立ち、木刀でズシリとその傷口に響く一撃を与えたいと、本気で思うのです。

また、ふらりとライブに行きます。これからも走り続けてください。その背中を追いかけます。

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ベロベロに酔っぱらって熱苦しく絡んでくる大平に、涼しい顔でパスタを食べながらやさしい言葉をかけているあなたがなんだかツボで、隠し撮りしてしまいました。